Interview 03
ZEBRA GREENS
株式会社ゼブラグリーンズ × 近藤デザイン事務所
未来の旗印を、
デザインする。
農業ベンチャーとして、着実に成長を続ける株式会社ゼブラグリーンズ。「いつも近藤さんは『そこまで聞くの?』というくらい話を聞いてくれる」と話す代表の柿坪さんと、経営管理責任者の桑田さんを迎え、これまでの仕事を振り返りながら、会社の思いをデザインへと落とし込むプロセスや、長く仕事をともにする理由をひもときます。
クライアントの中にある「本質」を探す
── 近藤デザイン事務所との最初の出会いについて教えてください。
桑田
最初の出会いは、ゼブラグリーンズを設立する前の2016年です。以前勤めていた会社が徳島で生産法人を立ち上げることになり、新会社のロゴマークやWebサイトなどが必要になったことがきっかけでした。
ただ、当時は徳島のデザイン会社とのつながりが全くありませんでした。せっかく徳島で事業を始めるのだから、地元の方と一緒に仕事をしたいという思いがあり、数社と面談を行った結果、近藤さんにデザインをお願いすることになったんです。
柿坪
近藤さんは、こちらに合わせようとしてくれる人だという印象がありました。
デザイナーによっては、話を聞く前から「これがいいです」と自分のカラーを前面に出す人もいるじゃないですか。でも近藤さんは、相手の話を聞き、その中から何をつくるべきかを探ろうとする。「そこまで聞く?」と思うくらい、根掘り葉掘り聞いてくるんですよ(笑)。
桑田
そうそう(笑)。私はデザインに詳しくなくて、ロゴがどういうプロセスで出来上がるのかも知りませんでした。でも近藤さんは、会社を立ち上げた理由や、目指していること、どのような思いで事業に取り組むのかまで、本当に細かく質問してくださったんです。
そうしたやり取りを通して、「ロゴは、単にきれいなマークを作るのではなく、会社の背景や考えを理解したうえで形にするものなんだ」と分かり、「デザインの仕事って、こういう世界なんだ」と感じたことを覚えています。
近藤
そんな印象を持たれていたとは(笑)。確かに、ロゴマークは見た目がきれいなだけではなく、社員の方にも思い入れを持って使ってもらいたいですからね。さらに、その会社が伝えたい相手に、その思いがきちんと届くデザインにする必要があります。
そうした目的を果たすためには、どのような思いで、何をしようとしているのかを深く聞かないと表現できないんです。クライアントが伝えたいことを、きちんと伝わる形にデザインすることが僕の役目だと思っています。
新しい会社に、新しい旗印を
── 最初の出会いから約5年後の2021年に、柿坪さんが代表となってゼブラグリーンズを立ち上げられました。その際も、会社のロゴマークとWebサイトを近藤さんに依頼されたのですね。
柿坪
新しく会社を立ち上げると、取引先や求職者など、多くの方がまずWebサイトを見ると思うんです。Webサイトがきちんと作られていると、事業にもしっかり取り組んでいるという印象につながります。会社の信頼にも関わる大切なものだと考えていました。
以前に作っていただいたロゴマークやWebサイトの仕上がりにも満足していましたし、再び徳島とのご縁ができたこともあって、近藤さんにお願いしました。
近藤
ロゴマークの制作にあたっては、なぜ社名に「ゼブラ」という言葉を使ったのか、どのような会社を目指しているのかなどを細かく伺い、そこから人のつながりや、新しい農業への挑戦といったキーワードを抽出しました。
そうしたキーワードをもとに、さまざまなスケッチを描きながら検討を重ね、最終的に4、5案ほどに絞り込んでご提案しました。企業のロゴには、会社の存在を覚えてもらう役割と同時に、社内の人たちをつなぐ旗印のような役割もあると思っています。
柿坪
提案していただいたプランは、どれも魅力的でしたね。創業メンバーにも意見を聞きながら、最終的に今のロゴマークを選びました。
知り合いや取引先からも「会社名と合っていて分かりやすい」「いいデザインですね」と言っていただけます。


ゼロから考える面白さ
── その後、御社では「たまとま」や「いろどリーフ」、「くるりん」など、主力商品のパッケージデザインも近藤さんに依頼されていますね。
桑田
私は、近藤さんのデザインがすごく好きです。ロゴマークも商品パッケージも、どこかスタイリッシュな印象があります。
ゼブラグリーンズの仕事を長く続けてくださっているので、こちらの考えを理解していただいていますし、私たちも相談しやすい。仕事を重ねるごとに、安心感が増していると感じます。
柿坪
近藤さんは、決められた情報を並べるだけの仕事よりも、会社の方向性や商品のデザインをゼロから考える仕事の方が、明らかに楽しそうなんですよ(笑)。
近藤
考える余地がある仕事の方が面白い、というのはありますね(笑)。ポスターやチラシの仕事ももちろん大切ですが、単発の制作だけでは、ブランド全体の統一感をつくるのは難しい。ロゴから依頼していただき、Webサイトや商品へと展開していけば、会社全体の見え方を考えることができます。
関わった会社が成長すればうれしいですし、自分も一緒に成長している感覚があります。そういう意味でも、ゼブラグリーンズの仕事は、特にやりがいを感じる仕事の一つです。


会社の現在地をWebサイトに
── 2026年には、Webサイトもリニューアルされましたね。
柿坪
最初にWebサイトを作った頃は、「創業メンバー3人の会社」という印象が強かったと思います。その後、社員が増え、会社の形が変わっていく中で、「3人だけのWebサイトではなく、みんなのWebサイトにしたい」という思いが強くなりました。
近藤さんにその思いを伝えるため、かなり長いメールを送った記憶があります(笑)。
桑田
リニューアルでは、社内の担当者が中心となり、近藤さんと相談しながら進めました。新たなWebサイトの制作に社員が関わることで、会社の方向性を改めて共有する機会にもなりました。
近藤
Webサイトは、一度作れば終わりというものではありません。会社が成長し、社員や事業が増えれば、伝えるべき内容も変わります。デザインや技術を新しくするだけでなく、「今、この会社は何者なのか」を見直すことが大切です。
最初は3人で始まった会社が、短期間でここまで成長したことに僕自身も驚いています。柿坪さんとは同い年ということもあり、「僕も頑張らないと」と刺激を受けています。
柿坪
周りの方からは「急成長ですね」と言っていただきますが、僕の中では、計画していたより少し早いかな、というくらいです。会社を大きくすることを目的としてきたわけではなく、やるべきことに一つずつ取り組んだ結果、今の形になりました。
今回のリニューアルによって、変化を重ねてきた自分たちの立ち位置を、改めて整理できたと思っています。

会社の「今」と「これから」をデザインする
── 近藤さんに依頼して良かったと思うのは、どんなところですか。
柿坪
お客様や取引先など、いろいろな方から「いいWebサイトですね」「いいロゴですね」と言ってもらえることです。それが、近藤さんにお願いして良かったと思える一番分かりやすい結果です。
僕たちが実際に取り組んでいることと、ロゴやWebサイトで表現されているものが一致しているとも言っていただけます。「Webサイトに力を入れていますね」と評価していただくことも多く、本当にありがたいですね。
桑田
まず、出来上がるものが素晴らしいことですね。それに加え、長く仕事を続ける中で、お互いに理解が深まってきたことも大きいと思います。
こちらの思いをすでに分かってくださっている部分がありますし、私たちも近藤さんには話しやすい。仕事を重ねるほど、より良い関係になっていると感じます。
近藤
Webサイトで商品を販売する場合は、アクセス数や売り上げなど、数値で結果を確認できます。一方、企業ロゴが会社の成長にどれほど貢献したかを、数字で測るのは難しいものです。
ただ、ロゴを作る前と後では、会社の認知が少しずつ広がっていることを感じています。Webサイト制作で会社を訪れた際に話した若手社員の皆さんの言葉からも、ロゴが会社の旗印として根付いていることが伝わってきました。こうして会社が成長していく姿を見られるのは、本当に嬉しいです。

柿坪
ときどき考えるんです。今のロゴは完成度が高く、すごく気に入っています。でも、10年後、20年後も全く同じ形で使っているのか。それとも、会社の核を残しながら、少しずつ変わっていくのか。
スポーツの代表チームのユニフォームは、その国らしさを保ちながら、時代に合わせてデザインが変わります。長く続く企業のロゴも、少しずつ変化していますよね。ゼブラグリーンズの場合は、これからどうなっていくのかなと思うんです。
近藤
時代に合わせてロゴを変える企業もあれば、長年の思い入れから変えない企業もあります。どちらが正しいということではなく、そのときの会社に合っているかどうかが大切なのではないでしょうか。
柿坪
創業者の思い入れだけで、若い社員の意見を止めるようにはなりたくないですね。その時代に会社の中心にいる人たちが、「今のゼブラグリーンズには、この形がふさわしい」と考えるなら、変わってもいい。会社と同じように、デザインも成長していけばいいと思います。
近藤
その成長にこれからも関わりながら、次の仕事では、これまで以上のものを返していきたいと思います。
── 本日はありがとうございました。