Interview 01
SHIKEN
株式会社シケン × 近藤デザイン事務所
育んだのは、
シケンらしさ。
歯科技工の総合企業として、全国の歯科医療を支える株式会社シケン。近藤デザイン事務所では、商品チラシの制作をきっかけに、ホームページや会社案内、各種販促物などを手掛けてきました。今回は、シケンの西川さん、玉田さんとともに、約15年にわたる仕事の歩みを振り返ります。
ともに歩み、育てた15年
── シケンとの最初の接点を教えてください。
近藤
シケンの担当者が僕のホームページを見て、問い合わせをくださったのが始まりです。最初に依頼されたのは、商品チラシやセミナーで使うテーブルクロスでした。その後、セミナーの案内なども作らせていただくようになり、ホームページの制作へとつながっていきました。
西川
近藤さんには、これまでに2度、ホームページをリニューアルしていただきましたね。私自身が近藤さんと最初に関わったのは、2011年に最初のリニューアルを行った時です。
当時のシケンには、「会社の名前は知られているけれど、何をしている会社か分からない」という課題がありました。本社は国道沿いにあり、会社名を目にする方は多かったのですが、「建設会社ですか」と聞かれることもあって。「全然知られていないんだな」と感じていました。
そこで、歯科技工や歯科技工士の仕事を一般の方にも分かりやすく伝え、私たちの仕事が暮らしや健康とどうつながっているのかを知っていただけるホームページを、近藤さんにデザインしていただきました。
近藤
当時使われていた歯科技工物の写真は、一般の方には分かりにくく、少し入りにくい印象がありました。そこで家族の写真なども使い、より幅広い層に届くサイトを目指しました。
玉田
そのホームページを見て、シケンの採用試験を受けたのが私です(笑)。デザインがきれいで、シケンが何をしている会社なのかが、一目で分かるように整理されていました。その内容を頭に入れて、面接に臨んだことを覚えています。
近藤
その話を初めて聞いた時は、びっくりしました。制作意図がきちんと伝わっていたことが、すごくうれしいです(笑)。

ブランドの軸を、社内に根づかせる
── ホームページのリニューアルにあたり、近藤さんがデザイン面で大切にしたことは何でしたか?
近藤
ホームページを通じて会社の印象を的確に伝え、ほかの媒体でも一貫した情報発信を行うには、まずロゴマークを整える必要があると思いました。ただ、役員の方が既存のロゴマークに強い思い入れを持っていると聞き、デザインは変えずに形や色を整え、使い方のルールを作りました。
玉田
作り直すのではなく、会社が大切にしてきたものは残して、使いやすい形に整えてくれたんですよね。まさに近藤さんらしい仕事だと思います。整えていただいたロゴとその使用ルールは全社で共有し、情報発信に統一感を持たせています。
西川
今では、社内で作った印刷物にシケンらしくない色やデザインが使われていたら、営業部から「これは違うのでは?」と意見が出るぐらいです。ロゴマークの運用ルールをしっかりと整えてからは、「変えていいもの」と「変えてはいけないもの」が社員の共通認識になりましたね。
近藤
会社によって「らしさ」は全然違います。シケンさんとは15年ほど、いろいろな仕事で関わってきました。その中で何度もお話をして、社内の雰囲気も見てきました。社員数の多い会社ですが、いい意味でかちっとしすぎず、明るさと人間味があります。長く付き合っているからこそ見える部分だと思います。


情報を整え、仕事を動かす
── 近藤さんとの仕事で、印象に残っていることはありますか?
玉田
当時、会社のホームページ制作を担当することになったのですが、制作の知識も経験もほとんどなく、少し不安だったんです。でも近藤さんが、「この部分を、この形で、いつまでに」と細かく示してくれたので、安心して進めることができました。
企業側の担当者として、自分の役割を一つずつ果たしていけば、最終的に良い形へ仕上げてくれる。そこが、いつも本当に心強いです。
近藤
なにかプレッシャーをかけてしまっているようで、すみません(笑)。納品スケジュールから逆算して進めているのですが、玉田さんは返事が速いので、僕もテンポよく作業に移れて助かっています。
玉田
あはは。確かに「この日までにこれを出してもらわないと、間に合いません」と、はっきり言ってくださるので、いい感じで集中力が高まります(笑)。やりたいことを伝えるとピシッと答えが返ってくるので、仕事を前へ進めやすいです。
西川
社内でも、「分からないから近藤さんに聞いてみよう」ということが増えています。ホームページの制作者というだけではなく、コンサルタントに近い存在ですね。
近藤さんは、情報整理も徹底しています。たとえば製品情報のページでは、伝えたいことがたくさんあるので、どうしても文章が長くなりがちです。そこで近藤さんは、読み手の立場を踏まえ、文字数や見せ方まで明確に決めてくれます。
決められたフォーマットに収めようとすると、私たちも「本当に伝えたいことは何なのか」を考えなければならなくなる。デザインを整えてもらうことで、私たちの頭の中まで整理されていくんです。

未来を見据えた、2度目のリニューアル
── 2023年、ホームページの2度目のリニューアルが行われました。どのような目的があったのでしょうか?
西川
以前のサイトは、一般の方にシケンを知っていただくという役割を十分に果たしてくれました。認知度も高まり、次のステップへ進む時期が来たと感じました。そこで、5年先を見据え、シケンが目指す姿をホームページにしっかりと示したいと考えました。
最初のデザイン案を見た時は、すごくワクワクしました。
トップページの「FOR THE BEST RELATIONSHIP」という言葉を見た時は、ちょっと震えましたね。
玉田
私も、めちゃくちゃかっこいいと思いました!
近藤
2度目のリニューアルでは、歯科医に向けて、より専門的な情報を発信するという目的があったので、トップページにはデジタル技術を象徴する機械の写真を使いました。
御社の歯科技工士の中には、こだわってつくった「歯科技工物」の写真を載せてほしいと思う方もいると思いますが、写真だけでは、そのこだわりや価値が十分に伝わらない歯科医の方もいると思います。
だからこそ、あえて最先端の機械をイメージとして用い、「これは何だろう?」「新しい技術に取り組んでいる会社なんだな」と、先進性を感じてもらえるようにしました。
玉田
そう!おっしゃる通りです(笑)。そのあたりまで分かっていただけるのも、長年にわたってご担当いただいているからこそですね。
西川
ホームページの公開時には新しい取り組みとして掲載していた内容が、今では会社の当たり前になっています。部署ごとにばらばらだった制作物にも統一感が生まれ、会社として目指す方向を社員が共有できるようになりました。
近藤さんを見ていて印象的なのは、時々「それは違います」とノーを出す姿勢です。ただ頼まれたものを作るだけなら、ノーを言う必要はない。でも、シケン全体のことを考えているから、違うものには違うと言ってくれるんだと思います。

近藤
ご要望をきちんと形にすることはもちろんですが、それだけで終わらせたくはありません。ブランドとして成長するには、どんな表現がふさわしく、何が足りないのか。次に何をすべきかまで考えて提案したいと思っています。
西川
これからは、ホームページだけでなく、一枚のチラシにもシケンのあるべき姿が宿るようにしたい。歯科技工物のスペックや材料が載っているだけではなく、「シケンそのものが載っている」と感じてもらえるものにしたいんです。
玉田
ロゴや資料の見せ方が整ったことで、社員の足並みもそろいました。ブランドのベースがきちんと整ったからこそ、私たちは次の段階へ進めている。そんな感じがします。
近藤
これからも、シケンさんが目指す次の姿を、一緒に考えていきたいですね。何かをきれいに見せるだけではなく、その会社がどこへ向かうのかを考え、必要な形にする。それが、僕にとってのデザインの仕事だと思っています。
── 本日はありがとうございました。